
遅い という時間はない
もう7年前になりますか・・・。
以前、とある福祉施設で仕事をしていたのですが、そこで学んだことはとても多く、臨床の場で人が持っているエネルギーの強さ、こころの強さというものを症例から知ることが出来た貴重な現場でした。
その施設で出会ったとある女性と 7年ぶりに出かけた先で会いました。
といっても、すれ違った程度。
私が声をかけても、おそらく覚えていらっしゃらないかも・・・と思われましたし、付き添われていたスタッフさんも知らない方でしたので、お見かけした程度で声をかけずにきました。
それでも、数秒間のすれ違いの中でその女性から受けるメッセージはとても大きくて、失礼と思いながらも後ろを振り返り、彼女の今の姿に見とれていました。
私が知っている彼女は、髪を短くし ジャージとポロシャツ。女性ですからお化粧をすることもありましたけど、家でゆっくり過ごすスタイルでした。外出をするときは、ジャージからズボンに履き替えていましたけど、年配の女性が着るような地味な色合いの洋服ばかり。
それが、カラフルな花柄のロングスカートに、肩まで伸びた髪にはパーマがかかっていて とてもおしゃれ!歩き方は依然と変わらないものの、すっかりお洒落な女性に変わっていました。
私が関わったのはほんの3年程度ですが、施設のスタッフが長い時間をかけて支援をしてきた記録は読んだり 聴いたりして知ってはいたので、彼女のお洒落な変身ぶりは、とても喜ばしいこと または、自分らしい人生を歩み出したんだ ということだと理解できました。
障がいなどで、喋れなかったり、意思の疎通がむずかしいと思われる方であっても、その方の意識や精神は私たち健常者と言われる人たちと変わらず、自分で選ぶ という自由や権利が当然のようにあります。
また、とても大切なのは、誰でもどんな人でも、女性らしく振る舞いたい、お洒落をしたい、一人前の大人の男性のようになりたいという気持ちなど、つまりは自分で自分を幸せにする権利は障がい者、健常者といった区別なく誰でも持っているものです。
自分で自分の人生や幸せを考え、選択をする自由と権利は誰にでもある、ということですね。
この女性は、10代の頃から福祉施設や病院生活をされていたと聞いており、また意思の疎通がなかなかむずかしく、今のように様々な手段を使って本人に選択をさせる(何が食べたいか、着たいか、どう過ごしたいかといったごく普通のこと)という認識が昔はなかったですから、おそらくですが、いちばんお洒落を楽しみたい頃に、スカートやパーマ、髪を伸ばすといったことはできなかったと思われます。
それが、私より年上の女性が、今ようやく青春を取り戻すようにお洒落をして買い物を楽しんでいる彼女を見て嬉しくなると同時に、人生に遅いという時間はないよ と教えて貰ったようでした。
肉体には時間が刻々と表れますよね。
衰えていく、老いていく・・・顔にしわが出来たり、体力の衰えを感じる といった時間ですね。
でも、意識や精神は目に見えない 物質化していないものですから、朽ちていくという時間が当てはまることはなく、経験というものが蓄積していくものの、再スタート、リセットがいつでも出来るものなんだと思うんですよね。
子供の頃にやりたいと思っていたこと。
または、10代、20代の時にチャレンジしたいと思っていたこと。
何らかの事情で出来なかったとしても、今からやってみよう、チャレンジしようと思って動き出せば、いつだって出来るんだと思います。
人生に遅いという時間はなく、いつでもスタートなんだということなんでしょうね。
あなたがやりたかったこと・・・なんですか?
もしひとつでもやりたいことがあったら、今すぐ やってみませんか?
スタートはいつでもできる。
いつだって、はじめられますよ。
ファ.ーストノエル
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